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1.キット選択のコツ
キット選びは、基本的にはご本人の作りたい艦を選ぶと良いと思います。ですが、中には説明書の不親切なものや金型が古く出来の悪いキットなどもありますので、ここでキットを選ぶコツのようなものを説明しておきます。
ウォーターラインシリーズ(以下WLと略す)参画企業には現在、タミヤ・ハセガワ・アオシマとありますが、この中では最大手のタミヤ模型の製品は、パーツ精度が高く組み易いキットが多いと定評があります。ただし、タミヤの製品の説明書には自社のタミヤカラーの色設定しか載っていませんので、Mrカラー等を使用して塗装される場合は、このページの資料編に載せてある色設定を利用されるといいでしょう。
また、最近発売ラッシュが続いているフジミの1/700特シリーズは全体的に従来のWLシリーズよりも精密に作られており、完成時の仕上がりの良さが特長です。その分作るのが難しかったり時間がかかったりはしますが、ある程度作り慣れた方にはこちらもお勧めです。
戦艦
売れ線なのでリニューアルを受けているキットが多く、全体的にキットの出来は良好なものが多いです。中でも、大和・武蔵・長門・陸奥・伊勢(戦艦・航空戦艦)・日向(戦艦・航空戦艦)・扶桑・山城は比較的最近リニューアルされており、満足のいく出来栄えではないかと思います。逆に正規WLシリーズの金剛・霧島・比叡・榛名の高速戦艦四隻はあまり評判が芳しくありません。キット価格も考え合わせると、大和・武蔵・長門・陸奥・扶桑・山城あたりがお勧めなのではないかと思います。しかしながら、個人的には値段は張りますが航空戦艦伊勢・日向の特異なスタイルにも魅力を感じます。
また、近年フジミ模型から戦艦金剛・霧島・比叡・榛名・扶桑・山城・長門・陸奥・伊勢・日向の洋上模型(フジミ1/700特シリーズ)が発売になりました。このフジミ1/700特シリーズは、1/350の同社のモデルを縮小コピーしたような出来栄えとのことであり、筆者もこのうち金剛を製作しましたが、非常に精密且つ繊細なキットで作り応えは十分でした。価格もお手頃ですので、細部にこだわる中級者以上のモデラーにはお勧めのキットと言えるのではないかと思います。
航空母艦
資料が不足しているのか、WLシリーズにはあまり良好なキットに恵まれていないようです。WLシリーズでは近年リニューアルを受けているのは蒼龍と飛龍と天城と葛城と雲龍ぐらいで、あとは翔鶴・瑞鶴がフジミ撤退後に金型が起こされたキットということです。私の知る限りWLシリーズの中で出来が良いと思われるのが、蒼龍・飛龍・隼鷹・信濃・天城・葛城・雲龍あたりでしょうか。
プラモデル屋さんには旧金型のキットが置いてある場合もありますので、なるべく新金型のキットを購入されるように気を付けましょう。大鳳は飛行甲板が木張りだったかラテックス張りだったか考証がいまだにはっきりしませんが、フジミ1/700特シリーズの新金型キットでは、木甲板版とラテックス版の両方が発売されておりますので、お好きな方を選択されるといいでしょう。また、WLシリーズの翔鶴・瑞鶴も出来は悪くありませんが、フジミ1/700特シリーズの翔鶴・瑞鶴の方が後発ですので、キットの出来は良いと思います。空母の中では花形の赤城・加賀のうち、WLの赤城は最近リニューアルされましたが、加賀は金型が古いのでお勧めできません。筆者としてはフジミ1/700特シリーズの赤城・加賀(・蒼龍・飛龍・雲龍)のキットをお勧めしておきます。
また、航空母艦のキット全般に言えることですが、説明書の塗装指示は史実(考証)と異なる場合が多くあまりアテにならないので、参考資料を入手するなり他の方の作品を参考にされるなりして、塗装する色や模様を決定するのがいいでしょう。艦載機の種類や数もなるべく史実に近付けることで、より満足できる仕上がりになるのではないでしょうか。
巡洋艦
基本的に最近リニューアルされたキットを買っておけば間違いはないと思います。高雄・愛宕・鳥海・摩耶・利根・筑摩のアオシマのキット、妙高・足柄・那智・羽黒・青葉・衣笠のハセガワのキット。最上・三隅・鈴谷・熊野のタミヤのキット。価格については筆者の感想ですが、軽巡洋艦の価格設定が全体的に若干高いような気がします。当サイトにキット価格と各艦の全長を一覧表にして掲載しておりますので、この辺りもご購入の際の参考にされるとよろしいかと思います。
駆逐艦
全体的にリニューアルされたキットは少なく、正規のWLシリーズの駆逐艦を組むには多少の予備知識が必要でしょう。まず第一に、旧日本海軍の駆逐艦の全ての艦には甲板にリノリウム(塗装はウッドブラウン系の褐色)という天然素材を用いた床材が使用されていたこと。箱裏の塗装指示では全面鋼板のような描かれ方がされていることが多々ありますが、これは間違いですので気を付けなければなりません。資料や他の人の作品などを参考にリノリウム色を塗装しましょう。
第二に古いキットが多い分、ディティールアップパーツが付属していることが多いです。しかし、一部の古いキットの説明書にはその使用箇所が指示してありません。基本的に対空兵装(二連装・三連装)・錨(いかり)・照明・救命ボート類はディティールアップパーツに置き換えたほうが見栄えが良くなると思います。
第三に、WL参加各社のデカールの違いです。駆逐艦には舷側(船体の両脇)に艦名の標記がありますが、このデカールがメーカーによって違っていたり、または付属していないキットもあります。戦時中は駆逐艦の艦名表記は消されていたらしいので、特に貼る必要はありませんが、ピットロード社の日本海軍艦艇用デカールを購入してこれを全艦に使用すると、各艦の見分けも付きやすくなるでしょう。
第四に、マスト類が現実の艦に比べて短い目に造られている印象がありますので、これらを真鍮線で長い目に作り直してやるとよりリアリティが増すでしょう。また、駆逐艦の多くは考証の新しいものがピットロード社から発売されていますので、少々高いお値段を気になさらない方はそれらをお勧めしておきます。他にフジミ模型から発売されているシーウェイモデルという同じ1/700の洋上模型シリーズもあります。お気に入りの艦がウォーターラインシリー ズになければフジミ模型のキットで代用することもできます。(全体的に価格は安いですが、金型も古くディティールアップパーツも付属しません。)
総括として全く個人的な考えですが、これと決めた艦がないのであれば、駆逐艦の場合は艦橋の窓がモールドされていて、なおかつ甲板上のリノリウムのモー ルドがあるキットを購入されるのが良いのではないかと思います。モールドされていない艦橋の窓を再現するにはエッチングパーツが必要になります。
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